N党・立花氏言動が物議 県外活動、規制求める声も―千葉知事選
16日投開票の千葉県知事選では、出馬した政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首の選挙活動が物議を醸した。立花氏は「当選目的ではない」と宣言し、兵庫県を中心に運動。公職選挙法が想定していないような言動も多く、規制を求める声も出ている。
「千葉県民の人たち、立花孝志に投票してください」。立花氏は10日、兵庫県尼崎市の街頭演説でこう呼び掛けた。ただ、訴えの多くは同県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを巡る告発文書問題で、千葉に関する話題はほとんどない。
立花氏が千葉県内で活動したのは、告示日の2月27日に船橋市で行った街頭と今月8日の千葉市の集会のみ。14日には東京・霞が関で財務省を批判するデモに参加。切り付けられ負傷したため、15日の東京・渋谷の演説は中止した。
総務省によると、選挙区外の活動は公選法上問題はない。ただ、千葉県選挙管理委員会には兵庫県などから「なぜ他県での運動を許すのか」「立候補を止められないのか」といった苦情が相次ぐ。選管は「立候補要件が形式上そろえば、受けざるを得ない」と話す。
選挙前には、昨秋の兵庫県知事選に続き、他候補を応援する「2馬力選挙」を行うと宣言。現職の熊谷俊人知事から拒まれ撤回した。他陣営からは「立花氏が一番目立つ」との声も漏れる。
法政大大学院の白鳥浩教授(政治学)は、選挙区外での活動に関し「有権者の理解を得られるかは疑問だ」と指摘。ただ、表現の自由などの観点から、「法改正で活動をしばるのは不可能ではないか」と語った。
千葉知事選4候補中2人が県外活動「理解できない人は理解しなくて結構」「パクっただけ」
16日投開票の千葉県知事選は、一部候補者による県外での選挙運動が際立った。400キロ超離れた兵庫県を中心に、千葉県政に直接関係ない持論に終始。一時、4候補中2人が県内不在の状態だった。
政治団体「NHKから国民を守る党」党首の新人、立花孝志氏は9日、動画投稿サイトで神戸市の街頭演説へ向かう車中の映像を流し、「千葉は平和。一方で兵庫県のほうは大混乱だ」と理由を語った。パワハラ疑惑告発文書問題を抱える斎藤元彦県知事の応援が目的とし「理解できない人は理解しなくて結構だ」。
立花氏のSNSで兵庫入りが確認されたのは計5日。最終盤の14日には東京・霞が関で演説直前、刃物で襲われる事件も起きた。
政治団体「つばさの党」代表の新人、黒川敦彦氏1日の立花氏の演説後、神戸・三宮の同じ場所でマイクを握った。理由は「面白いからパクっただけ」。
県選管によると、知事選関連費用は今年度予算に約24億5千万円が計上されている。
「現行法は熟知しています」兵庫問題を大阪で語る千葉県知事選候補者、N党立花氏の目論見
現職と新人合わせて4人が立候補した千葉県知事選は16日午前7時に投票が始まった。政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏は、千葉から約500キロ離れた神戸や大阪で演説するという異例の展開に。同じ知事選候補で政治団体「つばさの党」代表の黒川敦彦氏も、立花氏が演説を終えた場所に現れるなど、混沌(こんとん)とした様相を呈していた。有権者の判断に注目が集まる。
8日夜にはJR大阪駅前で立花氏が演説したが、話題の中心は、千葉県とは関係のない兵庫県知事の疑惑告発文書問題。集まった数百人の聴衆を前に「兵庫県の問題で言いたいことがあるから、大阪に来てしゃべっている」と訴えると、拍手とヤジで騒然となった。
他に千葉県知事選に立候補する現職の熊谷俊人氏、新人の小倉正行氏は県内を中心に活動しているが、そもそも区域外での街頭での選挙活動を公選法は禁じていない。
立花氏は複数回にわたる産経新聞の取材に対し、こうした現行法の仕組みを熟知した上で活動しているとした。
また他の候補の当選を目的に選挙に出馬する「2馬力行為」については「他候補に『投票してください』といえば、2陣営で選挙をしたということで今の法律でも犯罪になる。なのでそういう直接的なワードは入れたことはない」と強調。4月6日投開票の大阪府岸和田市長選にも、不倫問題の発覚を経て失職した前職との2馬力で臨む姿勢を示している。
投票は午後8時までで、即日開票される。
千葉県知事選挙 兵庫県で選挙運動も 法律の規定は? 候補者の“特別な権利”とは?
- 2025年3月13日 NHK

3月16日に投票が行われる千葉県知事選挙で、候補者の一部が兵庫県など県外で選挙運動を行ったことが議論を呼んでいます。
選挙の候補者が行う「選挙運動」には、演説の妨害に刑事罰が定められるなど、いわば“特別な権利”が与えられています。
選挙区の外での運動は法律でどのような扱いになっているのか、詳しく解説します。
神戸・三宮で相次ぎ演説
千葉県からおよそ400キロ離れた神戸市の中心部、三宮駅前。

3月1日、千葉県知事選挙に立候補している立花孝志氏(諸派・新)が、選挙運動用のタスキを掛けて演説を行いました。演説のほとんどは兵庫県政をめぐる問題に関する内容で、現場は一時騒然としました。

続いて同じ場所で演説を行ったのは、同じく千葉県知事選挙に立候補している黒川敦彦氏(諸派・新)。ほかの候補者に言及したり、経済振興策について訴えたりしていました。

SNS上で関心
こうした運動は、SNS上などで話題となりました。告示日からの1週間、「X」上で「千葉県知事選挙」とともに投稿されたことばです。数が多いほど大きく表示されます。

「神戸」「運動を兵庫県」「尼崎」「兵庫県警」といった、千葉県とは関係のないことばが見られます。
他2候補は県内で運動
一方で、ほかの2人の候補は千葉県内で選挙運動を続けています。
熊谷俊人氏(無所属・現)は、都内に近く住民の入れ替わりが多い地域を中心に街頭演説を繰り返しています。3月11日には、白井市の駅前で演説し、これまで4年間の県政運営の実績のほか、災害対策の強化や農業振興に努めることなどを訴えました。

また、小倉正行氏(無所属・新)も、県内各地をこまめに回って街頭演説を行っています。3月8日には千葉駅前で公約の「水道料金の値上げ中止」を訴えました。集まった支持者もプラカードを掲げ、演説に拍手を送っていました。

県外での運動 法的には?
選挙区の外での選挙運動について、公職選挙法に禁止する規定はありません。
専門家によりますと、そもそも「選挙の自由」は憲法で保障されている「表現の自由」にも関わり、「なるべく規制はかけない」という考えが根底にあるということです。
さらに、現実的に見ても、県境や市境に建つターミナル駅で運動を行う場合などもあり、厳密に運動を行うエリアを制限できないという事情もあるということです。

一方で、選挙運動は「有権者が候補者の政策などを知る基礎的な手段」と位置づけられています。候補者はいわば“特別な権利”を与えられた状態になり、日頃の「政治活動」では行うことができない、いくつかの行為が認められています。

<“特別な権利”の例>
▼名前入りのタスキを身につけること
▼名前を連呼して選挙カーを走らせること
▼本来、許可が必要な公道上での街頭演説を許可なく行うこと
▼候補者の演説の妨害などに対して刑事罰も
専門家の見解は
選挙区外での選挙運動をどう考えるべきか、選挙制度に詳しい専門家2人に話を聞きました。

神戸大学大学院法学研究科 品田裕 教授
公職選挙法にはどこで選挙運動をやっていい、やってはいけないとは基本的に書いておらず、選挙区外での運動は想定されていない。
千葉県知事選挙だから千葉県民に声が届かないといけないわけで、兵庫県で運動を行うのは、話題づくりという側面はあるにせよ、いささか不自然だと思う。表現の自由、言論の自由、政治活動の自由が最大限保障される一方で、選挙そのものは公平にフェアな状況で行われるべきだ。
何が適切でどこまで許されるべきか、有権者がそうした常識や共通認識を持つことが重要で、適切な選挙運動について議論する必要がある。

日本大学法学部 安野修右 専任講師
「政治活動の自由」や「選挙運動の自由」は、憲法で保障されている「表現の自由」の最も根幹的なものだ。しかし、今回の状況は、明らかに公職選挙法の枠組みにただ乗りしているように思われる。
候補者の選挙運動には一部税金が使われているので、候補者の運動を有権者が許容するかどうかは必要な視点で、候補者に政治家としてふさわしい資質があるか、1人1人が考え直してみることが重要だ。
投票日は3月16日
千葉県知事選挙の投票は、千葉市長選挙と同じ3月16日に行われ、即日開票されます。立候補者は届け出順にご覧のかたがたです。

「首都圏ネットワーク」での放送内容は、3月20日(木)午後7時まで「NHKプラス」で見ることができます。

告示日の「第一声」の内容などは、こちらの記事で詳しくお伝えしています。

NHKでは、千葉県知事選挙の立候補者にアンケートを行いました。候補者の横顔に加え、県政への評価や子育て支援策、それに宿泊税導入方針への賛否などについて質問しています。

同じ日に投票が行われる千葉市長選挙の立候補者などについては、こちらの記事でお伝えしています。

コメント
コメントを投稿